昨日読んだ本に影響されて物語調で進めていきたいと思います。
長いですが、「施工例についての話」としてではなく
「起承転結のない短編物語」だと思って読んでください。
それでは、はじまりはじまり~。
夏頃にトイレの改修工事をさせて頂いたY様邸。
便器、床、壁等トイレ空間そのものをリフォームしたいというご要望でした。
ちなみに、この記事はお施主様のご希望で施工のお写真はございません。予めご了承ください。
便器の機能はシンプルな物で。
ということでしたので、壁紙などの内装をこだわらせて頂きました。
壁紙は元々ウサギさんの柄だったことと、お孫さんがよくお家へ遊びに来るということで
ミッフィーの柄を採用。
リリカラ:品番LV-1070
カウンターと床の色はチェリー系の明るい木目。
一緒に悩んで決めた色、柄だったので完成したトイレを見た時は
お施主様は大満足のご様子でした。
それから数ヶ月後。別の場所をリフォームしたいということで再度訪問。
その時に「その後トイレ空間いかがですか?」と伺うと
「実はすっごく気に入ってるところがあるの」とお施主様。
「ミッフィーの柄に合わせて照明を変えたのかな?」
「新しくしたカウンターにお気に入りの小物を置いたのかな?」
など想像しながらトイレに案内してもらうと
「実はこれ!」
お施主様が指をさしたのはまさかの
幅木
※「幅木」とは壁と床が接する部分に壁の下部に取付けられる部材で
床や壁が傷ついたりするのを防いだり、納まりをよくするために使用される部材です。
「え?!幅木ですか?!」
理由は意外なものでした。
「色としっかりした木幅木なところがお気に入りなの♡」
とのこと。
お施主様が壁紙選びに忙しそうだったので幅木は弊社が選びました(ドヤ)。
通常幅木は床と同じ色にすることが多いのですが、今回はあえて
「白」
カタログの画像にも白の腰壁が回っていたのでそちらをイメージして白にしました。
「その色が、この空間の品を良くしてくれている」
お施主様はそう言いました。そして
「前はソフト巾木(柔らかい塩化ビニル系の幅木)だったから薄くて頼りなかったけど
今回は木で存在感もあるし、色は白いけど重厚感があって好き!!」
と解説してくださいました。
幅木はその部屋の主役になることはない。
でもまさか幅木ひとつでこんなにも感動して喜んで頂けるなんて。
建築の偉大な巨匠ミース・ファン・デル・ローエのこんな言葉を思い出す。
【神は細部に宿る】
そんな2019年、冬。
完